理学療法士の勉強メモ

このブログでは理学療法士として働く私の日々の勉強や疑問、はたまた趣味等を綴っていきたいと思っています

大脳基底核の役割とは?文献を読んで纏めてみた

こんばんは。

 

以前の記事では学習について纏めてみましたが、

中での基底核の部分について考えてみると以前考えてみた応用行動分析学

基底核による強化学習によるアプローチをメインにしているのですね。

 

応用行動分析学のみでは深く理解することが出来ませんでしたが、

基底核・小脳での学習過程を改めて纏めてみることで

自分の中でスッと落とし込むことが出来ました。

 

↓ご参考に・・・

 

www.tanimax.work

 

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ではでは、今回は改めて大脳基底核の機能について纏めてみたいと思います。

 

目次

 

 

大脳基底核とは

大脳皮質の底に位置し、被殻尾状核淡蒼球視床下核黒質からなる

核の一群を指します。

基底核は大脳等からの信号を尾状核被殻で受け取り、

淡蒼球の内節・黒質から視床を介して、様々な部分に信号を発信します。

 

 

大脳基底核の役割

・歩行や筋緊張の調節

基底核は中脳に存在する

脚橋被蓋核(PPN)中脳歩行誘発野(MLR)をコントロールします。

脚橋被蓋核は唯一筋緊張の抑制に関与し、他には眼球運動、嚥下、発声、排尿等

多くの調節に関与すると報告されています。

また、中脳歩行誘発野ではその名の通り歩行を誘発する領域です。

 

基底核の障害ではこれらの組織への抑制性の反応を強めることが多く、

筋緊張抑制作用を持つPPNへの抑制が強まることで

他の筋緊張亢進へ働く活動が促進され、筋緊張亢進がみられます。

また、MLRへの抑制により歩行開始の遅延等が生じます。

 

・運動の選択

基底核では大脳の運動野等でプログラムされた運動内容の細かな調整を行います。

基底核で運動の調整を行う際には3つの神経回路が働くとされています。

 

ハイパー直接路

直接路

間接路

 

これらは大脳皮質で運動のプログラムが作成されるとまずは

ハイパー直接路が働き、一度脳幹や大脳皮質の働きを抑制します。

次に直接路が働き、基底核の働きを抑制し、脳幹や大脳皮質の抑制が減少します。

最後に間接路が働き、再び脳幹や大脳皮質を抑制します。

この働きにより不必要なプログラムは抑制され、必要なプログラムが抽出されます。

 

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引用:大脳基底核による運動の制御,高草木薫

 

教科書等では上記のように記載されていることが多いのですが、

初めてこの文章を見たとき私はいったい何を言っているのかよくわかりませんでした。

 

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今でも何となくですが、自分なりに言い換えてみると

 

大脳皮質は大雑把に運動プログラムを定める為、

ハイパー直接路が一度「待った!」をかけます。

そして直接路が大雑把な運動プログラムの中の目的の運動を引っ張り出します。

その際に目的以外の運動プログラムが出てこないよう

間接路が念の為、「待った!」をかけるといった風な感じで考えています。

 

このような過程は随意運動に関わる大脳の運動野(4野)や

姿勢制御に関わる補足運動野や運動前野(6野)でのプログラム作成時に生じます。

 

・運動ループ・認知ループを形成する

大脳基底核は上記の運動ループや認知ループの一部を担います。

 

運動ループとは一次運動野や補足運動野・運動前野から始まり

被殻や小脳の内節→視床→再び一次運動野・補足運動野・運動前野に戻るループです。

 

認知ループとは前頭前野から始まり

尾状核や小脳の外節→視床→再び前頭前野に戻るループです。

 

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引用:大脳基底核による運動の制御,高草木薫

 

 

〇まとめ

基底核の役割について纏めてみました。

基底核の問題は筋緊張のみならず、歩行や認知機能にも影響します。

また、以前に纏めた強化学習にも影響を与えると考えられます。

パーキンソン病患者に対する運動学習の促しはグレードBといわれており、

運動の学習の為には強化学習のみでなく、

小脳由来の連続学習等を促す必要があります。

他の要因もありますがその為にも

視覚や聴覚を利用した学習の促しは有効であるといえますね。

 

 

参考文献

高草木薫,大脳基底核による運動の制御,臨床神経学 49巻6号,2009

嘉戸直樹,大脳基底核の機能,関西理学,5:73‐75,2005