理学療法士の勉強メモ

このブログでは理学療法士として働く私の日々の勉強や疑問、はたまた趣味等を綴っていきたいと思っています

今日の臨床メモ・・・神経因性膀胱に対しての運動療法!

こんばんわ。

 

欲しかった教科書や自宅でのインソール検討用のポロンが届き、

俄然やる気が出てきました今日のこの頃です。

 

さて、今まで勉強した知識等について纏めることが多かったのですが、

これから時々、勉強したこととその日の臨床を振り返って、

どのようにリハビリしてみたのか・その効果は?

等についても時々纏めてみたいと思います。

 

 

さてさて、では臨床とからめてどんなことを書こうかなと思ったのですが、

正直今は排尿障害に悩まされています。

まさか、ここまで悩まされるとは・・・

 

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では今日の流れは

 

□神経因性膀胱とは

神経因性膀胱とは,神経疾患によって生じる膀胱およびその排出路(併せて下部尿路と呼ぶ)の機能障害の総称であり.本来,神経因性下部尿路機能障害(Neurogenic Lower Urinary Tract Dysfunction:NLUTD)と呼ぶべき病態である.(岩坪ら,2011)

と文献の中では纏められています。

また、障害をきたす部位として

➀脳幹部(橋)より上位中枢の障害

➁脳幹部(橋)の障害

③仙髄より上位の脊髄障害

➃仙髄または末梢神経障害

の4種類に大別されるとされています。

 

今回の対象患者では➀の脳幹より上位の障害により脳幹に存在する排尿中枢(PMC)

のコントロールがきかなくなった。

加えて、網様体脊髄路等の問題により腹部のインナー筋(特に腹横筋)の収縮が弱化し、

腹圧をかけることが困難になったことが原因であると考えられた。

 

□問題点

上記の神経的な問題により排尿時に腹圧が十分にかからず、

残尿が残ってしまうことが多々みられていた。

薬剤の調整等は並行して行っているものの大きな改善は得られていない。

また、介入当初は腹部・臀部の緊張が低く、歩行困難であった為、

歩行獲得を目指し、介入を行い、結果として歩行獲得に至った。

腹部の緊張はわずかに改善を認めたものの依然として緊張は低く、

呼気持続時間や最大呼気圧等は改善が得られていない。

 

まず、神経因性膀胱により膀胱周囲の骨盤底筋群等は低緊張であると仮説をたてた。

骨盤底筋群の収縮の促しの為には腹部の収縮が必要であるとされている。

骨盤底筋群の収縮は腹部筋の活性化させ、

逆に腹部の収縮も骨盤底筋群を活性化させるとの報告から

腹部(特に腹横筋)へのアプローチを中心に行った。

 

 

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□アプローチ

➀ドローインによる腹部収縮の感知・腹部収縮の持続の促し

➁腹部の収縮を持続し、上下肢の運動につなげる(SLRや側臥位での股関節外旋)

③ストロー等を用いた呼気訓練により呼気時間の延長

 動作方法の習熟と共に問題意識を患者様と共有し、自主トレーニングへの移行

をまず実施しました。

また、この間の排尿時等の注意として手圧をかけるよう指導等を行いました。

 

□結果

3週間程度、歩行能力改善の為の運動療法と併用して、

上記の訓練を継続したところ残尿が1日平均200mL程度あったものが

20mL程度となり、十分な排尿が可能となりました。

 

□考察・感想

排尿に対してのリハビリテーションを行いましたが、

今回はたまたま仮説が当たり、上手くいったに過ぎないと感じました。

排尿障害の機序は多岐に渡り、

今回は膀胱周囲の骨盤底筋群の問題を主として考えていましたが、

尿排出の問題として骨盤底筋群以外にも尿道括約筋等も存在し、

それらは排尿時には弛緩する必要があります。

 

しかし、排尿に関する客観的な評価は困難であり、

また、私達のリハ環境では物品等も不足しており、

超音波での評価や磁気刺激でのアプローチ等は出来ず、

仮説ベースでの治療になってしまう部分ではあります。

 

また、今回本当に反省しないといけないのは歩行へのアプローチを行っている際に

もっと腹部の収縮を促すことが出来なかったのかという部分です。

 インナーユニットへのアプローチをもっと意識できていれば、

歩行能力向上とともに排尿の問題も解決したのではないかという疑問もある為、

次回に同様の症状の方を担当する場合は注意していきたいです。

 

参考文献

田中舎真由美,骨盤手筋群機能障害に対する評価とアプローチ,理学療法学 第35巻

第4号212〜215,2008 

岩坪ら,排尿障害のリハビリテーション,Jpn J Rehabil Med 48 : 87.116,2011