理学療法士の勉強メモ

このブログでは理学療法士として働く私の日々の勉強や疑問、はたまた趣味等を綴っていきたいと思っています

変形性股関節症とは?基本的なアプローチ!

こんにちは。

気づけばブログを始め、一週間経ちました。

自分の考え・知識をアウトプットする機会を得られ、

日々、新鮮な気持ちで仕事に励めております。

 

では、今回は以前の記事でお話しした変形性膝関節症に続き、

変形性股関節症について纏めてみたいと思います。

 

↓前回の纏めてみた変形性膝関節症に関する基礎情報です。

よろしければご参照ください。

 

 

 

tanimax0923.hatenablog.com

 

 

 

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変形性股関節症とは?

股関節は膝関節同様には荷重関節でここの関節の問題が起きると

痛み歩行障害を招きやすく、股関節の可動域制限や筋力低下等も

生じる疾患で発生頻度も多いとされています。

骨・関節の形態異常により最初に軟骨の変性が生じ、

徐々にの骨増殖反応による骨棘形成が生じます。

 

変形性膝関節症と同様に一次性と二次性に分けられ、

一次性は高齢者によく発生しますが原因は現在も不明であり、

脆弱性や免疫・生化学等様々な方面から検討されています。

二次性は先天性疾患に由来するものが多く、臼蓋形成不全、ぺルテス病や滑り症などの

骨の疾患や外傷、リウマチ等に由来します。

臼蓋形成不全により変形性股関節症に至ると

個体差は大きいとされていますが、前念角の増大と頸部長の短縮が特徴的です。

 

 

日本では変形性股関節症の75~90%以上が二次性で先天性股関節脱臼の治療後や

臼蓋形成不全を伴う方が大半を占めます。

股関節痛を自覚し始めるのは30代に多く、50~60歳代で

変形性股関節症の診断を受けることが多いとされています

 

変形性股関節症発生に関与する要因とは?

日本では二次性が多いですが、欧米では肥満高齢

運動不足等の関与が報告されています。

しかし、運動に関しては重量物を用いた作業や立ち仕事が

発生に関与したとの報告もあり、一概に運動不足のみが関与するとは言い難い状況です

やはり関節は消耗品なので高齢になるにつれて、

股関節に大きく負担をかけないよう意識することは重要かもしれません。

 

変形性股関節症の進行に関わる要因とは?

こちらも発生要因と同様に高齢・肥満は関わってきます。

他には股関節痛や股関節の屈曲制限が関与するとされています。

また、ガイドラインではCE角が10度未満かつ50歳以上の方で

病気が進行しやすいとされています。

 

※CE角とは

大腿骨頭の中心を通る垂線と、臼蓋の外縁を結ぶ線がつくる角度のことです。


 

変形性股関節症の疼痛に関わる要因とは?

変形性股関節症ガイドラインでは疼痛に関わる要因として

肥満臼蓋形成不全の程度関節裂隙の狭小化が挙げられていますが

股関節は3軸関節であり、周囲の軟部組織の緊張のバランスや筋力のアンバランス

により歩行や立ち上がり等の動作時に

一部分に負荷がかかり疼痛が生じることがあります。

 

〇関節唇由来の疼痛

変形性股関節症では早期の段階より関節唇に負荷がかかり、

前上方・上方の関節唇の損傷をきたすことが多いです。

関節唇の損傷部には微小血管の拡張や増生等の血管反応は生じますが、

元々、血管支配が少なく治癒力に乏しい為、

ストレスの減少や更なる負荷の減少を考える必要があります。

股関節の屈曲・内転・内旋にて前上方部分へのストレス

股関節伸展・外旋では後方部分へのストレス

生じやすいとされています。

また、股関節外転や外旋においても前方へのストレスが生じる為、

過度な外旋等のストレスは更なる関節唇損傷や疼痛を引き起こす可能性がある為、

注意が必要です。

 

〇内転筋由来の疼痛

股関節内転筋で長内転筋等の起始部・筋腱移行部に疼痛をきたしやすいです。

変形性股関節症では関節のストレスを避ける為、

運動の際に骨頭上に骨盤を被せ、股関節を外転位とし、

骨性の支持を高めようとする姿勢をとることがありますが

このような姿勢では股関節外転筋は使用されず、内転筋の筋負荷が高まります。

また股関節の外転筋と内転筋はカップリング作用により股関節の安定性を保つ為、

外転筋の筋力低下により骨の安定性低下が生じると内転筋への負担が更に増加します。

このような場合は内転筋のリラクゼーションと合わせ、

外転筋の筋力訓練を行っていく必要があります。

 

腸腰筋由来の疼痛

股関節の伸展等の関節可動域制限が生じると安静臥位時においても

股関節はベッドに全面接地できず、不安定な姿勢となることがあります。

そのような姿勢において腸腰筋の筋緊張は増加し、疼痛をきたすことがあります。

また、男性は女性に比べ、骨頭に対する骨盤の被覆率が高く、

屈曲時に腸腰筋のインピンジメントをきたすことがあります。

そのような場合は腸腰筋のリラクゼーションや

屈曲運動時に骨盤が前傾位とならないように骨盤の後傾を誘導しながら行います。

 

変形性股関節症に対して運動療法は有効?

結論から言うと運動療法は有効です。

変形性股関節症に対する運動療法の大きな目的は疼痛の軽減、

筋力向上による機能障害の改善、関節の安定性向上・可動域拡大が中心となります。

過去の報告では6から12週の運動療法の提供が疼痛軽減、QOL改善に有効であり、

その効果は3~6か月効果が持続したとされています。

筋力強化のポイントとしてはやはり上記でも述べた筋力低下をきたしやすい

股関節外転筋や全身筋力の指標となる膝関節伸展筋が中心となります。

また、荷重関節である股関節が障害されると唯一地面との接点を持つ

足部にも必ず影響が生じます。

その為、足部へのインソール等も有効な手段となります。

(インソールについてはまた後日にまとめてみます。)

 

変形性股関節症に対して運動指導が重要!

これはどのような疾患に対しても言えますが、

変形性の関節症は進行性の疾患であり、運動を行い、機能が改善したとしても

運動をやめてしまうといつかは症状は逆戻りし、更に進行していく事になります。

そのようなことを防ぐためにも運動指導はしっかりを行いましょう。

 

まとめ

変形性股関節症について基本的な部分を纏めてみました。

進行性の疾患ですし、二次性の障害が多いことから様々な要因が絡むこととなります。

これに膝関節や足関節あるいは体幹の問題が絡むこともあります。

股関節の疼痛について悩んでいる患者様がいれば、

是非お力になれるように共に頑張っていきましょう!

しかし、やはり下肢の荷重関節に対し

治療を行う場合はトータルアプローチの考え方も必要ですね。

私ももっと勉強しないと・・・