応用行動分析学使ってみた!確かな感触あり!
こんにちは。
理学療法士のたにむーです。
明日は久しぶりの休みですので夜更かししております。
さて、今回は以前紹介いたしました、応用行動分析学に基づき
動作練習を行ったところこれまで難渋していた方で即時的な動作の改善がみられ、
今後継続することでさらに効果を発揮する事が出来るのでは?
と思ったので纏めさせていただきます。
今回、応用行動分析学を行わせて頂いた方は
左出血性脳梗塞の患者様で失語症や注意障害、軽度の認知症があり
日によりますがリハビリへの拒否や負荷の高い運動を嫌う傾向にありました。
また、起居動作時に動作パターンが定着せず、
なかなか起居動作能力向上がみられていませんでした。
その為、今回応用行動分析学に基づき、
起居動作を5分割し、それぞれの動作に対して現状何が問題なのか・どのように学習を促すべきなのか自分なりに考え、実施してみました。
結論から言うと
セラピストの伝え方・促し方次第で
治療効果は大きくかわる!
↓以前の記事です。
今回の記事で使用している用語等を纏めていますので良ければ参考に。
応用行動分析学
応用行動分析学とは
応用行動分析学とは環境と個人の相互作用として問題を捉える。
介入の方法としては、「環境を整える」という環境に働きかける方法と、
「適切な行動を学習する」「行動のバリエーションを増やす」という
個人に働きかける方法があります。
リハビリ場面においては動作障害の原因を認知機能や身体機能の問題だけでなく、
知識の問題・技術の問題・動機づけの問題から分析していきます。
進行性の病態であれば認知機能や身体機能の改善を図ることは難しいですが
知識や技術は学習によって習得させることができるとされています。
起居動作の5分割
まずは起居動作を動作の構成要素に分ける必要があります。
構成要素を分け、それぞれの問題について考えることで
動作上の課題がわかりやすくなります。
今回の方は既に寝返りが上手くできていたので
寝返り動作は一括りにしています。
➀寝返る
➁両下肢をベッドの外におろす
③on elbow(肘立て位)へ移行
➃on hand(手支持)へ移行
⑤直立座位となる
の5分割です。
プロンプト(手がかり刺激)の実施
次に各動作それぞれに対してどのような促しを行ったのかプロンプトの
方法から点数付けを行いました。
4点:指示なし
3点:口頭指示
2点:モデリング
1点:タッピング
0点:身体的ガイド(重心移動等の介助:機能的な介助は除く)
とし、開始時には起居動作の5項目の内、
どの動作においても身体的ガイドを必要としました。
また、on elbowへの移行では体幹の後方回旋が生じ、
身体が後ろに倒れそうになるのとわずかに体幹の側屈の介助を要しました。
その為、5項目すべてにおいて0点の身体的ガイドを要したので点数は0/20となりました。
さて、実際の介入では
動作の➀➁に対して
動作の負荷量が上がってしまうと運動への拒否があり、不快刺激を与えることに
なってしまうので練習は1日5回程度としました。
不快刺激の入力は動作の学習を進めていくうえで阻害因子となる為、注意が必要です。
(↑非常に重要です)
また、起居動作の➀➁に関してはそれまでの練習中に
自己にて行えている場面もあったので身体機能の問題ではなく
知識の問題であると考えました。
知識の問題ということは技術的にも身体機能的にも動作は可能ですが、
起居動作を行うにあたり何故その動作が必要なのか知識が獲得できていない状態です。
開始時はまず、寝返りを行い、下肢を下ろす動作が
起居動作には必要であるということを分かって頂く為に
身体的ガイドを用いながら起居動作の内の➀➁を行い、
連続で2回・身体的ガイドで動作可能であれば、
タッピング・モデリングと徐々にプロンプトの量を減らしていきました。
その際には賞賛のフィードバックを入力するよう意識しました。
起居動作➀➁の部分については徐々にプロンプトの量を減らしていく事で
3日間で身体的ガイドを要していた部分が口頭指示のみで可能となりました。
動作の③➃に対して
側臥位からon elbowへの移行に関しては
体幹の後方回旋を修正するような身体的ガイドに加え、
わずかに体幹の側屈の介助が必要でした。
この観点から体幹の後方回旋については重心を
on elbow支持の前腕内に制御する事が出来ない技術の問題。
体幹の側屈に関しては身体機能の問題ととらえました。
いきなりon elbowの練習反復は難易度が高いので
ベッドのギャッジアップ機能を用い、
60度・45度・30度と徐々に難易度を下げていく方法を選択し、
体幹の後方回旋については身体ガイドにより重心位置の介助をおこない、
体幹後方回旋等の不適切な動作にはフィードバック入力を行わず、
適切な動作の成功時のみに正のフィードバック入力を意識しました。
(↑シェイピングという技法です)
結果、初日は60度からの起居に成功し、
2日目には45度からと30度からの起居動作にも一度だけ成功しました。
動作を反復することで重心位置の介助量も徐々に減っている印象です。
結果
現在、3日間の介入で0/20であった得点は
➀➁⑤の動作が口頭指示のみで可能となり、9/20と向上しました。
on elbowへの移行もギャッジアップの角度を調整することで
確実に上達している印象があります。
まとめ
今回、応用行動分析学に基づいた動作練習の実施を意識しました。
現在、まだ3日間しか介入できておらず、今後の経過がどうなるのか継続が必要ですが少しずつ前進している印象があります。
何よりいいなと思ったのが動作を細かく分け、プロンプト毎に点数付けし、
患者様へ提示することで患者様自身上達が感じやすいという点です。
やはりリハビリをモチベーションを保ち、行うには達成感が必要です。
リハビリをやっててよかったというような。
そのような部分がセラピストと患者様で共有しやすいことが
何より素晴らしいと思います。
また、今後も工夫を重ね、実践し経過を纏めてみたいと思います。
著者 :山崎裕司