理学療法士の勉強メモ

このブログでは理学療法士として働く私の日々の勉強や疑問、はたまた趣味等を綴っていきたいと思っています

運動療法の柱・筋力訓練!さて、どんなルールがあったっけ?

こんにちは。

ブログを始めたてで気になってしまい調子に乗って更新しています。

このテンションがいつまで続くのか・それとも持続していくのか、どうなるのやら・・・

 

さてさて、本日は私たちが提供する運動療法の中でも大きな柱の一つとなる筋力訓練について纏めてみたいと思います。

 

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↑こんな体、非常に憧れてしまいます。(実際の私はひょろひょろですが・・・)

 

 

筋力向上の要因とは

  1. 筋断面積の増大:筋の断面積は筋線維数×筋線維断面積で求められます。ここでいう断面積とは解剖学的断面積・生理学的断面積の2種類がありますが、羽状筋の形状等を考慮した生理学的断面積の方が筋のピークトルクと高い相関があったと報告されています。過去にはトレーニングにより筋線維数は増殖し、高負荷なトレーニング程、増殖が生じやすいと述べているものもあります。(しかし、昨今ではこれを支持しない報告もあります。また、これについては後の記事で述べようかと思います。)
  2. 神経系の賦活:筋肉が収縮するときに参加する運動単位数が増加すると筋の面積に変化がなくても筋力は向上します。これは大声を出しながらの筋発揮の際に出力が上がったり、大きな大会等で普段では出せない力を発揮できてしまうことがあると思います。これらは神経系の興奮が高まった状態の為、筋収縮に参加する運動単位数が増加するとも考えられています。

 

上記は基礎的な知識ですが、筋力向上を考えるうえで非常に重要な点であると思います

また、運動神経に電気刺激を加え、最大の筋収縮を発揮すると筋の収縮力が30%も増加したとの報告があります。(30%でかなりですよね!)

 

次に筋力トレーニングの原則について

 

 

➀過負荷の原則:少し疲れるくらいの負荷をかけ、筋肉をある程度以上強く使用しなければいけない。ちなみに日常生活で使用される筋力は20~30%程度とされており、低くても30%以上の負荷は必要となる。

 

②継続性の原則:筋の発達は一定の段階に沿って行われる。初期は筋収縮に参加する運動単位数の増加により絶対筋力が向上する時期、次いで筋の量的増加を起こす筋肥大期がくるとされ、徐々に継続的に訓練を行う必要がある。

 

③意識性の原則:膝伸展の際に大腿四頭筋を意識すると左大脳半球皮質にある運動野の神経細胞に興奮がおこり、錐体路を下行し、脊髄前角細胞に到達する。前角細胞からの興奮は筋へ伝わり、筋収縮を起こす。このように筋収縮には中枢神経系からの影響があり、筋収縮の部位やタイミングを意識することで訓練の効果が高まるとされている。

 

➃個別性の原則:どの部分を訓練するか明確にすることで短時間での訓練効果を向上させることができる。

 

⑤特異性の原則:筋肉の能力は同等の運動特性を用いた訓練によって効果的に高められる。

(例:跳躍動作には膝伸展筋力が相関するとされているが、訓練としてⅠ跳躍訓練ⅡスクワットⅢバーベル持ち上げ等筋の収縮特性を変化させた。結果として➀の目的としている動作と収縮形態・収縮速度が同様の訓練の効果が最も高かった)

 

超回復の原則:筋の強化とは現在の筋を破壊し、それを修復させて元以上の状態 を築き上げるともいえる。強化は訓練中ではなく、訓練後に行われるものである。超回復をふまえると、筋力訓練の最もいい環境は、食事前に訓練を行い、エネルギー要求が高 まっている時に高タンパクの食事を摂取し、その後3時間以上睡眠のとれる環境とされている。

 

等が報告されている。個人的に特に重要なのは➀と⑤の原則であると思います。

特に⑤の特異性の原則の中で上げている例については個人的に意外なものでⅠ~Ⅲの中で跳躍訓練以上にⅡ、Ⅲの訓練の方が筋力への負荷は大きいものでしたが、収縮特性や速度の違いによって効果に大きく差が出てしまうという結果が示されていました。

 

全て教科書的な基本的部分ですが、普段から私は全てを意識して提供出来ている訳ではありません。また、自身のトレーニングの際にも意識できていない点はたくさんあります。

限られた時間の中でより大きな効果を出していく為には一つ一つ再度意識をしてトレーニングに取り組んでいく必要があると再認識致しました。

 

参考資料

1)幸田利敬:筋力トレーニングについて.運動生理.9.p131~138.1994

2)市橋則明:筋を科学する─筋の基礎知識とトレーニング─.理学療法学.第41巻第4号.p217~221.2014