理学療法士の勉強メモ

このブログでは理学療法士として働く私の日々の勉強や疑問、はたまた趣味等を綴っていきたいと思っています

リハビリテーションにおける栄養状態の重要性!栄養を考慮した運動療法を行おう

こんにちは。

今週は私用で東京に行ったり、出張に行ったりとバタバタしてしまい

全くブログを触る事が出来ませんでした。

最低3日に1回の亢進を目標にしていましたが、ここで途切れてしまいました。

心機一転し、またコツコツと続けていきたいと思います。

 

さて、今回は最近勉強中のリハビリテーション栄養について纏めてみたいと思います。

 

目次

 

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リハビリテーション栄養とは

リハビリテーション栄養とは国際機能分類(ICF)で評価を行ったうえで

障害者や高齢者の機能・活動・参加を最大限発揮できるよう

栄養管理を行うこととされています。

 

栄養が障害された方では運動と栄養管理を併用することで

より大きな機能改善が期待できるとされています。

 

簡単に表現するとスポーツ栄養のリハビリ版です。

スポーツの現場においても選手が最大のパフォーマンスを発揮できるよう

栄養管理しますが、リハビリ場面では患者様が生活の中で

最大のパフォーマンスを発揮できるように栄養管理を行います。

 

〇栄養が不足するとどうなる?

まず栄養が不足している状態とは

一日の消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ることを指します。

この状態を飢餓といいます。

飢餓の状態では体内の糖質・脂質・タンパク質を分解し、

必要なエネルギーを産生します。

短期の飢餓では肝臓で貯蔵されているグリコーゲンの分解が行われますが

その後は筋肉のタンパク質や脂質を分解します。

さらに飢餓が進むと免疫機能低下・創傷治癒遅延・臓器障害がみられ、

徐脂肪体重の30~40%を失うと餓死に至るといわれています。

 

エネルギーバランスの問題は健常者であれば、問題ありませんが

高齢者や患者様では大きく身体機能低下のリスクが考えられます。

 

〇高齢者は栄養低下をきたしている?

過去に施設別に高齢者の栄養について評価した論文では

病院:38.7% リハビリテーション施設:50.5%

リハビリテーション施設で栄養障害の方の割合が高い結果が得られました。

回復期リハ病棟でも2~3割の方が栄養障害の可能性があるとされていますが、

実際はもっと多い印象があります。

 

良かれと思い、栄養を考慮せず高負荷の運動を提供していると

消費エネルギーのみ増加し、飢餓が進み、

意図せず患者様の機能低下を引き起こしてしまう可能性があります

 

〇どのように栄養を管理を行う?

当たり前ですがまずは食事量の確保が重要です。

食形態・食事量についてはSTや栄養士さんに相談する必要がありますが

私が日々臨床の中で多いと感じるのはリハビリ直後で疲労が貯まり、

食欲がないという方たちです。

特に栄養を十分に摂取できていない方では食事の優先順位が何より先決となります。

 

また、運動直後の高濃度補助栄養食品も推奨されています。

運動直後に補助食品を提供することで筋肉量や筋肉がより大きく増加します。

例えばロイシンを多量に含んだ食品であれば、

ロイシンは栄養のみでなく食事量の増加に関与するとの報告もあり、 

積極的に導入を進めていくべきだと思います。

 

〇栄養を考慮したリハビリを行うには?

栄養を考慮するにはまずは1日にどの程度のエネルギー消費があるのか

考える必要があります。

1日のエネルギー摂取量は

基礎エネルギー消費量×ストレス係数×活動係数

で出すことができます。

 

基礎エネルギー消費量は

男性:66.47+13.75×体重(kg)+5×身長(㎝)-6.76×年齢

女性:65.51+9.56×体重(kg)+1.85×身長(㎝)-4.68×年齢

で算出が可能です。

 

活動係数・ストレス係数は以下の引用をご参考に・・・

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引用:理学療法リハビリテーション栄養

 

理学療法の負荷量により活動係数を変化させますが

例として機能訓練室で2~3メッツ程度のリハを

20分:1.3 1時間以上:1.3~1.7 2時間以上:1.5~2.0

程度の活動係数になると若林らは報告しています。

 

これらを参考に摂取エネルギー量に対する消費エネルギー量の限界を考慮し、

リハビリテーションの負荷を考えていく必要があります。

 

〇まとめ

栄養を考慮し、リハビリテーションを行うには食事量や普段の活動量等

様々な情報を統合的に処理し、リハビリ内容を検討していく必要があります。

上記の活動係数以外にも

メッツで運動療法時の消費カロリーを計算する方法もあったりします。

 

高齢者へ運動を提供することが多い我々は低栄養の方を担当する機会があります。

その様なときにも根拠を持って、運動負荷量を決定し、

効果的な運動を提供していく事が重要だと考えています。

 

〇参考文献

・若林,理学療法リハビリテーション栄養管理

・若林,栄養と理学療法

・増田ら,入院高齢患者の安静時エネルギー消費量に及ぼす日常生活動作低下の影響