理学療法士の勉強メモ

このブログでは理学療法士として働く私の日々の勉強や疑問、はたまた趣味等を綴っていきたいと思っています

リハビリテーションにおける栄養状態の重要性!栄養を考慮した運動療法を行おう

こんにちは。

今週は私用で東京に行ったり、出張に行ったりとバタバタしてしまい

全くブログを触る事が出来ませんでした。

最低3日に1回の亢進を目標にしていましたが、ここで途切れてしまいました。

心機一転し、またコツコツと続けていきたいと思います。

 

さて、今回は最近勉強中のリハビリテーション栄養について纏めてみたいと思います。

 

目次

 

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リハビリテーション栄養とは

リハビリテーション栄養とは国際機能分類(ICF)で評価を行ったうえで

障害者や高齢者の機能・活動・参加を最大限発揮できるよう

栄養管理を行うこととされています。

 

栄養が障害された方では運動と栄養管理を併用することで

より大きな機能改善が期待できるとされています。

 

簡単に表現するとスポーツ栄養のリハビリ版です。

スポーツの現場においても選手が最大のパフォーマンスを発揮できるよう

栄養管理しますが、リハビリ場面では患者様が生活の中で

最大のパフォーマンスを発揮できるように栄養管理を行います。

 

〇栄養が不足するとどうなる?

まず栄養が不足している状態とは

一日の消費エネルギーが摂取エネルギーを上回ることを指します。

この状態を飢餓といいます。

飢餓の状態では体内の糖質・脂質・タンパク質を分解し、

必要なエネルギーを産生します。

短期の飢餓では肝臓で貯蔵されているグリコーゲンの分解が行われますが

その後は筋肉のタンパク質や脂質を分解します。

さらに飢餓が進むと免疫機能低下・創傷治癒遅延・臓器障害がみられ、

徐脂肪体重の30~40%を失うと餓死に至るといわれています。

 

エネルギーバランスの問題は健常者であれば、問題ありませんが

高齢者や患者様では大きく身体機能低下のリスクが考えられます。

 

〇高齢者は栄養低下をきたしている?

過去に施設別に高齢者の栄養について評価した論文では

病院:38.7% リハビリテーション施設:50.5%

リハビリテーション施設で栄養障害の方の割合が高い結果が得られました。

回復期リハ病棟でも2~3割の方が栄養障害の可能性があるとされていますが、

実際はもっと多い印象があります。

 

良かれと思い、栄養を考慮せず高負荷の運動を提供していると

消費エネルギーのみ増加し、飢餓が進み、

意図せず患者様の機能低下を引き起こしてしまう可能性があります

 

〇どのように栄養を管理を行う?

当たり前ですがまずは食事量の確保が重要です。

食形態・食事量についてはSTや栄養士さんに相談する必要がありますが

私が日々臨床の中で多いと感じるのはリハビリ直後で疲労が貯まり、

食欲がないという方たちです。

特に栄養を十分に摂取できていない方では食事の優先順位が何より先決となります。

 

また、運動直後の高濃度補助栄養食品も推奨されています。

運動直後に補助食品を提供することで筋肉量や筋肉がより大きく増加します。

例えばロイシンを多量に含んだ食品であれば、

ロイシンは栄養のみでなく食事量の増加に関与するとの報告もあり、 

積極的に導入を進めていくべきだと思います。

 

〇栄養を考慮したリハビリを行うには?

栄養を考慮するにはまずは1日にどの程度のエネルギー消費があるのか

考える必要があります。

1日のエネルギー摂取量は

基礎エネルギー消費量×ストレス係数×活動係数

で出すことができます。

 

基礎エネルギー消費量は

男性:66.47+13.75×体重(kg)+5×身長(㎝)-6.76×年齢

女性:65.51+9.56×体重(kg)+1.85×身長(㎝)-4.68×年齢

で算出が可能です。

 

活動係数・ストレス係数は以下の引用をご参考に・・・

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引用:理学療法リハビリテーション栄養

 

理学療法の負荷量により活動係数を変化させますが

例として機能訓練室で2~3メッツ程度のリハを

20分:1.3 1時間以上:1.3~1.7 2時間以上:1.5~2.0

程度の活動係数になると若林らは報告しています。

 

これらを参考に摂取エネルギー量に対する消費エネルギー量の限界を考慮し、

リハビリテーションの負荷を考えていく必要があります。

 

〇まとめ

栄養を考慮し、リハビリテーションを行うには食事量や普段の活動量等

様々な情報を統合的に処理し、リハビリ内容を検討していく必要があります。

上記の活動係数以外にも

メッツで運動療法時の消費カロリーを計算する方法もあったりします。

 

高齢者へ運動を提供することが多い我々は低栄養の方を担当する機会があります。

その様なときにも根拠を持って、運動負荷量を決定し、

効果的な運動を提供していく事が重要だと考えています。

 

〇参考文献

・若林,理学療法リハビリテーション栄養管理

・若林,栄養と理学療法

・増田ら,入院高齢患者の安静時エネルギー消費量に及ぼす日常生活動作低下の影響

臨床研究(シングルケースデザイン)の考え方!ネタ帳を用意しよう!

こんにちは。

本格的に寒くなってきましたね。

私は京都に住んでいるのですが、

早朝はマフラーなしでは耐えることができません。(笑)

 

本業の仕事に加え、アルバイトのデイサービス等も忙しくなってきた為、

体調管理がなにより大事!

 

さて、今回は私が現在行っている臨床研究(シングルケースデザイン)の

内容を考える為に日々行っていることを纏めていきたいと思います。

 

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目次

その前に・・・

 〇まずシングルケースデザインとは?

その名の通り単一の患者様の有益な治療や特殊な病態等を報告することを指します。

基本的にシングルケースに求められることは

 ・珍しい所見、特異な臨床経過、難渋した治療や治療プロセス

 ・治療に対する稀な有害事象

 ・既存の理論に対する疑義

 新説の説明

等です。

個人的に私が日々の臨床で遭遇しやすいのは

珍しい所見か新説の説明です。

 

〇シングルケースデザインはどのような目的で行う?

日常の臨床から得られる新しい知識を普及させる為の一つの手段です。

通常とは異なる症状や経過、、珍しい病態、新しい治療の試み等

従来とは異なる事例を挙げ、医療のコミュニティの中で情報共有することができます。

 

また、以前の記事でも少し触れましたが、

自身の臨床推論や知識の幅を大きく広げることができ、

私は自身の修行の一環として患者様を担当する際はいつでも

シングルケースデザインとして纏めることができるよう

何かしらのデータを取るようにしています。

 

シングルケースを考えてみよう

〇ネタ帳を持ち歩こう!

シングルケースデザイン含め研究を行うには

まず研究内容をデザインすることが重要ですが

そのデザインの元となる疑問や課題は日々の臨床の中に転がっています

臨床を行う中で少しでも疑問に感じたことやこれは面白いなと感じたこと

ネタ帳に忘れないようメモをして

実際に文章化していきましょう!

 

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テレビの中のお笑い芸人等もメモ帳は持っていないかもしれませんが

普段の生活の中で面白いことがあれば、直ぐにネタにできるよう

アンテナを張り続けているといいますしね!(笑)

 

ちなみにここで得た臨床の疑問をクリニカルクエスチョン(CQ)といいます。

 

CQをリサーチクエスチョン(RQ)へ昇華させよう!

臨床の中でCQが得られたなら今度はその内容について調べてみましょう。

調べてみて、疑問に思ったことの内容が既に報告されているのか

まだ検討の余地があるのか等を確認します。

確認を終えたら、研究のデザインであるPECOにどんなものが当てはまるのか

検討してみます。

PECOとはP:患者 E:介入 C:対象 O:アウトカムを指します。

このようにCQの内容について調べ、研究の目的・仮説を明確にすることで

CQをRQへと昇華させます。

ここでまとめた研究の為の目的・仮説をリサーチクエスチョン(RQ)といいます。

 

〇先行研究の抜け穴を探そう!

CQをRQにする過程でPECOに研究内容を当てはめ、目的を明確化しますが、

自分の中のCQが果たして本当に新規性があるのか等先行研究を探していたら

だんだんとわからなくなることがあります。(私はかもしれませんが・・・)

しかし、先行研究をよくよく読んでみて

「なにが明らかになっているのか」

逆に「明らかになっていないことは何か」

といった視点で見てみるとまだまだ明らかになっていないことはたくさんあります。

 

〇あとは介入・文章化してみる!

CQがRQへと昇華でき、アウトカムの要素などが決定すれば、

後は実際に考えた仮説に沿って介入を行ってみるだけです。

しかし、ここで注意したいのが実際に計画ができても

上手くアウトカムのデータが取れない・取り忘れてしまうことが

過去の私はたくさんありました。

計画が完成すれば、研究はほぼ完了と言われていたりしますが

ここでも気を抜かず、最後までやり遂げましょう!

 

〇まとめ

私自身がシングルケースデザインを考える為に普段から取り組んでいることを

簡単に紹介させて頂きました。

こういうこと考えても実際の給与には繋がりにくいですし、時間もかかります。

それでも私は仮説・検証・発表の流れを一度行ってみて

考えていたことが形になると案外楽しいと感じる部分もたくさん出てきました。

 

日々の臨床でさらに負荷を増やすことは大変かもしれませんが

是非頑張ってみましょう!(←私自身へ発破をかける意味合いもあります。(笑))

脳卒中短下肢装具の考え方!まずはこう考えます

こんにちは。

いやー、イングランドリーグのサッカーを普段から観戦していますが

リバプール強いですね!

このまま年末まで失速せずに悲願のリーグ優勝を成し遂げてほしいです!

 

では、今回は脳卒中患者に対する短下肢装具の処方について

参考にしている文献などから基本的な部分を紹介したいと思います。

 

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〇短下肢装具の利点とは?

➀足関節の運動軸を正常に近づけることができる

➁足関節内外反の矯正ができる

③底背屈方向での角度調節により可動範囲の制限ができる

➃底背屈方向での補助ユニットにより可動範囲の制動ができる

 

特にセラピストが意識し、確認する点は③、➃の点だと思います。

この足関節の角度調整により片麻痺患者様のおのおのの状態にあった

装具を提供する事が出来ます。

 

〇装具・どのように処方する?

歩行能力低                 歩行能力高 

 足関節固定

      底屈制限+背屈制限

           底屈制限+背屈フリー

                底屈制動+背屈フリー

引用:山本澄子,動作分析にもとづく片麻痺者用短下肢装具の開発,

   理学療法科学,18巻(2003)3号

私は装具を検討するときに基本的な部分ですが、

山本先生の上記の図を参考に装具を検討しています。

足関節固定ではその名の通り完全に固定された装具

底屈制限・背屈制限ではシューホーンやダブルクレンザック・wing form等

底屈制限・背屈フリーではゲイトソリューション(以下:GS)の金属支柱タイプやPDC

底屈制動・背屈フリーではGSデザインタイプの物

等多々存在しています。

 

基本的にはまずは制動モーメントを高く設定し、歩容のクリアができれば、

制動モーメントを下げていき、再度歩行評価を実施していきます。

 

重要なのは片麻痺患者様の歩行のどの部分に問題があり、

どのような手法で改善を図るのか常に考えることが重要です。

 

例えば麻痺側での背屈筋が効かず、踵接地が困難な場合のみであれば、

それ程制動力の強い装具は必要なく、オルトップ等の処方を行います。

 

しかし、長下肢装具から短下肢装具への切り替え直後等で

バックニー等が生じる場合は制動力を上げるべきであり、

ダブルクレンザックやwing form等で可動範囲を調整し、バックニーの抑制を図ります。

 

〇まとめ

装具には多種多様なタイプがあり、既存のタイプ以外に

患者様に合わせた装具をオーダーメイドで作成するという手段も存在します。

経験を積んでいけばある程度、適切な装具の処方が

スムーズにできるのかもしれませんが経験値が不足している場合、

やはり難易度別に装具を分け、

いくつか実際に装着し仮説検証する必要があると思います。

 

私も装具の検討は非常に苦手でこれから力を入れ、伸ばしていかないといけない

ポイントであると自覚しています。

少しずつ装具処方のデータを積み重ね、より患者様へ適切な装具が提供できるよう

修行に励みたいと思います。

身体活動量とは?再発予防を心がけよう!

こんにちは。

嫁と大喧嘩してしまいしょんぼり&後悔の真っ最中です・・・。

二人の価値観を築き上げていくのは本当に難しい。

私ももっと大人にならねば・・・。

 

さて、今回は身体活動量に関して纏めてみたいと思います。

 

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目次

 

身体活動とは

安静にしている状態よりも

多くのエネルギーを消費する全ての動作

と定義されています。

この身体活動という言葉はWHOが2010年に身体活動に関する勧告を出し、

身体不活動が全世界の死亡者数に対する原因第4位の危険因子として認識されました。

 

〇何故身体活動量が重要なのか?

上記でも述べましたが身体不活動は身体に様々な悪影響を及ぼします。

冠動脈疾患、心血管疾患、脳卒中2型糖尿病罹患リスク・総死亡率に関わります

 

冠動脈疾患や脳卒中において身体活動の促進が再発予防に関わるとされており、

ガイドラインでも訓練量の多くすることが機能回復に関与し、

身体活動量の多い方の方がQOLも高い傾向にあるとされています。

 

〇どのくらい動けばいいの?

 疾患リスクの低下、あるいは再発予防に関わる身体活動量ですが

どのくらい活動を行えばいいのでしょうか?

学会や厚生労働省での推奨例を挙げていきます。

 

日本生活習慣予防学会では

ウォーキングの歩数を「1万歩」「5000歩」とを比較した場合、

「1日1万歩」のウォーキングでは血管内皮機能が改善し、

動脈硬化の予防につながるとの報告を紹介しています。

一方、ウォーキングを5日間休んで、「1日5,000歩」しか歩かないでいると、

血管の状態は明らかに低下するとされています。

 

厚生労働省では

健常者目標値で 男性:9200歩 女性:8300歩

   基準値  男性:8202歩 女性:7282歩

 

高齢者目標値で 男性:6700歩 女性:5900歩

   基準値  男性:5436歩 女性:4604歩

程度の活動量が必要であると記載されています。

 

また、成人では

・週2回以上、1日30分程度

・息の少し切れるくらいの強度

・意識的に階段の使用や歩行速度の増加等に取り組む必要あり

とされており

 

高齢者では年齢や能力に応じて

・ストレッチや体操を1日10分程度

・散歩やウォーキングを1日20分程度

・下肢や体幹のトレーニングを行う

等の運動をいずれか一つ行うことを推奨しています。

 

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理学療法士はどうする?

理学療法士として冠動脈疾患や脳卒中を罹患された方と関わる機会が多くありますが、

果たして歩行ができたから・ADLが改善し、

家に帰れたからOKという訳ではありません。

再発を予防する為に運動環境の提供や運動指導を行う必要があります。

その為に私たちが関われる間にいかに再発を予防する事が出来るだけの運動習慣を

獲得していただくのかを検討していく必要があります。

 

・徐々に軽い運動から行い、運動習慣を徐々につけて頂く。

・入院中に自主トレーニングを導入し、自宅での継続していただく。

等様々な方法があります。

 

しかし、なにより重要なのは患者様達は何故運動が必要なのか?

退院したのはいいけど、疾患の再発リスクについて

正しく理解できているのか?

といった部分が非常に重要であると私は考えています。

その為にはDrやNs、私たち療法士が正しく再発に関する知識を伝え、

何故運動が必要なのかを正しく伝え、理解していただく必要があると感じています。

 

〇まとめ

身体活動に関してはまだまだこれからたくさんのエビデンスが構築され、

今後、高齢化が進む日本社会において

ピックアップされる分野の一つではないかと思います。

その時がこなくとも私達は身体不活動についてのリスクについて正しく認識し、

改善策について提案・指導していく必要があると思います。

予防的な観点での理学療法はまだ十分にピックアップされているとは

言い難い状況下もしれませんが私達自身が必要性について正しく認識し、

より世間に広めていく事で少しでも再び患者様が疾患のリスクに

脅かされる心配を減らしていく事が出来る。

あるいは人々が疾患と関わりなく少しでも長く、

健康に過ごすことが出来るのではないかと考えています。

セオリー無視!衝撃を受けた拒否に対する介入方法!

こんにちは。

理学療法士のたにむーです。

今日は後輩のセラピストが患者様へリハビリを提供しようとした際に

拒否があり、介入できない場面をみました。

 

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リハビリを拒否された場合こちらからリハビリの必要性等

理論的に説明したり、ご家族様から説得して頂いたりいろいろな案を考えますが

なかなか介入に持っていけないことを僕もよく経験しました。

 

そこで今回、過去の報告で様々な刺激方法を用い、

リハビリテーションを実施することで効果を出したというケースがあったので

いくつか紹介したいと思います。

 

過去の事例

〇強化刺激に喫煙を使用!!

これには本当にびっくりしました。

セオリー無視というか身体に対する害悪が証明されており、

一般的に医療従事者として禁煙を勧めることはありますが

強化刺激の為に喫煙とは!

 

簡単にあらすじを・・・

リハビリに対して拒否があり、12日間の間で3日程度しか介入を行えず、

麻痺側の機能低下をきたしているにもかかわらず

起立練習は5回程度・歩行練習に至っては一度も行えていない状態でした。

そして徐々に訓練室への移動も行われなくなったそうです。

 

背景・・・

入院以前は煙草や飲酒をされており、そんな中脳梗塞に・・・

入院後は喫煙・飲酒・食事に対する不満感が高く、そのような不満をこぼすたびに

医師や看護師、セラピストから注意を受けていたそうです。

 

介入・・・

欲求に対しての注意からかセラピストを見る・訓練室に行くことが

嫌悪刺激となってしまっている状態と考えられ、

訓練の導入には非常に強い強化刺激が必要であると推察されました。

 

その為、医師と相談の元一日数本の喫煙をリハビリ後に行えるよう許可を

もらい、リハビリを行う→喫煙ができることを強化刺激としました。

結果、リハビリへの参加がみられるようになり、

徐々に訓練の負荷を上げていく事で身体機能回復がみられたという報告がありました。

 

感想・・・

喫煙は確かに動脈硬化を促進し、脳卒中の発症リスクに大きく関与してしまいます。

しかし、考えてみると今までずっと煙草を吸い続けてきた人に

いきなり完全に煙草を制限し、リハビリを行うことは自宅に帰る為には必要です。

と伝えたところで数少ない楽しみである娯楽をなくし、

いくらメリットがあるといいつつもしんどい運動のみを提案するだけでは

本当の意味での患者様の意欲を引き出すことは出来ないということを感じました。

 

だからと言って喫煙を勧めるのを肯定するつもりはありませんが・・・

 

重要なのでは行動を促すためには行動と関連づく何かしらの

強化刺激(報酬)を提示することが重要だと思います。

強化刺激の種類は人により様々だと思います。

 

野球が好きだけど入院してからプロ野球を見れていない。

甘いものが好きだけど、入院してから一切に甘いものを食べてない。等等

しっかりと一人一人の趣味・これまでの行動等から何を求めているのか?

しっかりと検討し、

本当の意味での個別的なアプローチが重要だと感じました。

これからの社会の中で理学療法士が生きていく為に必要な考え方の一つだと

感じたので今回紹介させて頂きました。

 

※何をするにしても慎重な検討は必要だと思いますが。

 

足部のアーチ機能とは?外側縦アーチに着目!

こんにちは。

理学療法士のたにむーです。

今日は久しぶりに同期とボウリングに行き、

全員がスコアを揃えるまで帰れまテンゲームをして、全身が筋肉痛です。

年甲斐も無くはしゃぎすぎてしまいました・・・。

 

 

さて、今回は足部のアーチ機能について纏めてみたいと思います。

 

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目次 

 

〇足部のアーチ機能とは

足部のアーチは力の分散が上手くできるよう弓状構造になっています。

主なアーチの役割は

➀衝撃の吸収

➁足裏の血管や神経の保護

③バランスをとる

のこの三つです。

 

アスファルト等を移動するときに足部には

体重のおよそ5~6倍の衝撃がかかるといわれています。

私の体重が65㎏なのでおよそ325㎏!

とんでもない数字ですよね。

 

※トラス機構

立位中、体重負荷により足部のアーチは低下する傾向にあり、

この時アーチは平定化します。

この作用は踵骨と中足骨の距離を引き延ばし、

結合組織である足底腱膜は伸長されます。

この時の結合組織の「たわみ」によりアーチの下行を抑え、

スプリングのように体重を吸収する作用をトラス機構といいます。

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※ウインドラス機構

歩行時の爪先離地の際に足趾は伸展され、足底腱膜は過度に伸長されます。

この伸長によりトラス機構であった踵骨と中足骨が離れるのとは

逆に踵骨と中足骨が近づこうとする腱膜の伸長により働きます。

このように足底の緊張が上がることでこの後必要な

ヒラメ筋や腓腹筋の収縮に耐えることのできるテコとして作用します。

 

 

〇3種類のアーチあり!

内側縦アーチ

親指から踵にかけてのアーチ(正確には第一中足骨頭~載距突起)です。

骨は踵骨・距骨・舟状骨・楔状骨・中足骨で構成され、

歩行時の推進直の源となったり、身体の左右への揺れの制御を行います。

 

外側縦アーチ

小趾~踵にかけてのアーチです。

骨は踵骨・距骨・立方骨・中足骨で構成され、

横への広がりによる身体の支え体をひねる時の制御などを行います。

 

横アーチ

 前方・中間・後方の3つに分けられ、前後の揺れや歩行時の推進力に関わります。

 

〇トレーニング方法(外側アーチに注目して)

上記のアーチを構成するのは基本的に骨や靭帯ですが、

筋肉の緊張も非常に重要な要素となります。

 

レーニング方法には様々なものがありますが

今回は最近よく実施している外側縦アーチへのトレーニングについて

ご紹介したいと思います。

 

タオルギャザー(足趾屈筋群)

これは最も有名なトレーニングではないでしょうか?

タオルを足の指でつかむ運動です。

しかし、足指の先しか動かさないのでは意味がありません。

足の指の根元から指先を踵につけにくるような意識でしっかりと行いましょう。

 

小趾の外転(小趾外転筋)

 小趾外転筋は足部の内在筋の中でも母趾外転筋等と同様比較的に大きい筋肉です。

作用はもちろん小趾の外転ですが、外側縦アーチを保持する役割を持ちます。

小趾外転にてトレーニングをしますが、

レーニング時のコツとしては足関節をまず底屈位に保持しつつ

小趾の外転を行います。

これは小趾外転筋が腓骨筋等の

足部底屈作用を持つ筋と筋膜で連結されているからです。

また、小趾外転筋は収縮時に筋が筋腹の中央に集まるとされています。

その為、小趾を外転する際に小趾の運動をアシストしつつ

筋を中央に集めるように収縮を促すことで効率が上がります。

 

足関節底屈・外返し(長腓骨筋)

長腓骨筋も外側縦アーチを形成しています。

足部の外返しに加え、足関節底屈作用を持っています。

また、小趾外転筋と同様に筋腹は筋の中央に集まるように収縮を行う為、

足関節の底屈・外返しを促しながら下腿の外側中央へ長腓骨筋を集めるように

収縮を促していく事で効率が上がります。

応用行動分析学使ってみた!確かな感触あり!

こんにちは。

理学療法士のたにむーです。

明日は久しぶりの休みですので夜更かししております。

 

さて、今回は以前紹介いたしました、応用行動分析学に基づき

動作練習を行ったところこれまで難渋していた方で即時的な動作の改善がみられ、

今後継続することでさらに効果を発揮する事が出来るのでは?

と思ったので纏めさせていただきます。

 

今回、応用行動分析学を行わせて頂いた方は

左出血性脳梗塞の患者様で失語症や注意障害、軽度の認知症があり

日によりますがリハビリへの拒否や負荷の高い運動を嫌う傾向にありました。

 

また、起居動作時に動作パターンが定着せず、

なかなか起居動作能力向上がみられていませんでした。

 

その為、今回応用行動分析学に基づき、

起居動作を5分割し、それぞれの動作に対して現状何が問題なのか・どのように学習を促すべきなのか自分なりに考え、実施してみました。

 

結論から言うと

セラピストの伝え方・促し方次第で

治療効果は大きくかわる!

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↓以前の記事です。

今回の記事で使用している用語等を纏めていますので良ければ参考に。

 

www.tanimax.work

 

 応用行動分析学

 

 応用行動分析学とは

応用行動分析学とは環境と個人の相互作用として問題を捉える。

介入の方法としては、「環境を整える」という環境に働きかける方法と、

「適切な行動を学習する」「行動のバリエーションを増やす」という

個人に働きかける方法があります。

 

リハビリ場面においては動作障害の原因を認知機能や身体機能の問題だけでなく、

知識の問題技術の問題動機づけの問題から分析していきます。

進行性の病態であれば認知機能や身体機能の改善を図ることは難しいですが

知識や技術は学習によって習得させることができるとされています。

 

起居動作の5分割

まずは起居動作を動作の構成要素に分ける必要があります。

構成要素を分け、それぞれの問題について考えることで

動作上の課題がわかりやすくなります。

今回の方は既に寝返りが上手くできていたので

寝返り動作は一括りにしています。

 

➀寝返る

➁両下肢をベッドの外におろす

③on elbow(肘立て位)へ移行

➃on hand(手支持)へ移行

⑤直立座位となる

の5分割です。

 

プロンプト(手がかり刺激)の実施

次に各動作それぞれに対してどのような促しを行ったのかプロンプトの

方法から点数付けを行いました。

4点:指示なし

3点:口頭指示

2点:モデリング

1点:タッピング

0点:身体的ガイド(重心移動等の介助:機能的な介助は除く)

とし、開始時には起居動作の5項目の内、

どの動作においても身体的ガイドを必要としました。

また、on elbowへの移行では体幹の後方回旋が生じ、

身体が後ろに倒れそうになるのとわずかに体幹の側屈の介助を要しました。

 

その為、5項目すべてにおいて0点の身体的ガイドを要したので点数は0/20となりました。

 

さて、実際の介入では

動作の➀➁に対して

動作の負荷量が上がってしまうと運動への拒否があり、不快刺激を与えることに

なってしまうので練習は1日5回程度としました。

不快刺激の入力は動作の学習を進めていくうえで阻害因子となる為、注意が必要です。

(↑非常に重要です)

 

また、起居動作の➀➁に関してはそれまでの練習中に

自己にて行えている場面もあったので身体機能の問題ではなく

知識の問題であると考えました。

知識の問題ということは技術的にも身体機能的にも動作は可能ですが、

起居動作を行うにあたり何故その動作が必要なのか知識が獲得できていない状態です。

 

開始時はまず、寝返りを行い、下肢を下ろす動作が

起居動作には必要であるということを分かって頂く為に

身体的ガイドを用いながら起居動作の内の➀➁を行い、

連続で2回・身体的ガイドで動作可能であれば、

タッピング・モデリングと徐々にプロンプトの量を減らしていきました。

その際には賞賛のフィードバックを入力するよう意識しました。

 

起居動作➀➁の部分については徐々にプロンプトの量を減らしていく事で

3日間で身体的ガイドを要していた部分が口頭指示のみで可能となりました。

 

動作の③➃に対して

側臥位からon elbowへの移行に関しては

体幹の後方回旋を修正するような身体的ガイドに加え、

わずかに体幹の側屈の介助が必要でした。

この観点から体幹の後方回旋については重心を

on elbow支持の前腕内に制御する事が出来ない技術の問題

体幹の側屈に関しては身体機能の問題ととらえました。

 

いきなりon elbowの練習反復は難易度が高いので

ベッドのギャッジアップ機能を用い、

60度・45度・30度と徐々に難易度を下げていく方法を選択し、

体幹の後方回旋については身体ガイドにより重心位置の介助をおこない、

体幹後方回旋等の不適切な動作にはフィードバック入力を行わず、

適切な動作の成功時のみに正のフィードバック入力を意識しました。

(↑シェイピングという技法です)

 

結果、初日は60度からの起居に成功し、

2日目には45度からと30度からの起居動作にも一度だけ成功しました。

動作を反復することで重心位置の介助量も徐々に減っている印象です。

 

結果

現在、3日間の介入で0/20であった得点は

➀➁⑤の動作が口頭指示のみで可能となり、9/20と向上しました。

on elbowへの移行もギャッジアップの角度を調整することで

確実に上達している印象があります。

 

まとめ

今回、応用行動分析学に基づいた動作練習の実施を意識しました。

現在、まだ3日間しか介入できておらず、今後の経過がどうなるのか継続が必要ですが少しずつ前進している印象があります。

何よりいいなと思ったのが動作を細かく分け、プロンプト毎に点数付けし、

患者様へ提示することで患者様自身上達が感じやすいという点です。

やはりリハビリをモチベーションを保ち、行うには達成感が必要です。

リハビリをやっててよかったというような。

そのような部分がセラピストと患者様で共有しやすいことが

何より素晴らしいと思います。

 

また、今後も工夫を重ね、実践し経過を纏めてみたいと思います。

 

 

参考資料:理学療法士作業療法士のためのできる!ADL練習

著者  :山崎裕

インソールとは?足部にどのようにアプローチする?

こんにちは。

だんだん寒くなってきて、病院のリハビリの際にも屋外歩行に行くか

迷いが生まれる季節になってきました。

1か月前までは迷わず行ってたんですけどね・・・。

 

さて、今回は以前の記事で少しふれました、

インソールの基本的部分について纏めてみたいと思います。

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今回の記事に全く関係ないのですが、

なんとなく綺麗な画像を載せてみてます。(笑)

 

 

 

〇インソールとは

インソールとは靴の中敷きに凹凸をつけ、

人間の土台となる足の肢位や使い方に変化を与えるものです。

足部は人間の体の中で唯一地面に接しており、

靴・インソール・足部の順に反力を受け、

体に効率よく反力を伝達するためには靴・インソールの形状は非常に重要となります。

 

また、足部がどのような問題を抱えているのか

どのように修正を促したいのか

等を判断するための評価については前回の記事を参照。

 

www.tanimax.work

 

〇実際にインソールを入れてみて

私自身右のMst~Tstにかけて股関節内転による崩れがみられています。

また、右側の踵骨回内可動性の低下と片脚立位時に第2・3中足骨が低位

かつ内側アーチの低下があり、母趾での蹴り出しが上手く行えていませんでした。

 

そこでインソールを使用し、外果や第2・3中足骨高を2㎝上げることで

股関節の内転崩れが減少し、母趾側での蹴り出しが可能になったのと

なにより自覚的な右単脚支持での安定感のUPを感じれました。

 

使用したものはポロンソフトシートというものの2㎝を使用しています。

たった2㎝ですが、足部の形状を整えることで

全身に大きな影響を与えることができます。

 

〇インソールどこにはるの?

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引用:下肢の障害に対する足底版療法

上記の画像は入谷先生の足底版療法に関する文献からの引用画像です。

少し見にくいですが、足部の部位を触診し、骨の境目で区切り分割します。

 

➀第一中足骨底~内側楔状骨頭部

➁内側楔状骨尾部~舟状骨頭部

③舟状骨尾部~載距突起

➃外果直下~第5中足骨底

※第5中足骨底~第5中足骨頭

⑤第2~4中足骨底

私は上記の部分を参考にインソールを使用しています。

まだまだ勉強途中なもので入谷先生の文献のような⑦や⑧番には使用できていません。

また、今回はポロンのみ使用していますがテーピング等を使用し、

アーチを補正する方法もあります。

 

〇練習あるのみ!触診!

私の個人的な意見となりますがインソールをはることはそれほど難しくありません。

インソール使用部位の触診さえできてしまえば、水性のペン等でマーキングし

その長さに合わせ、ポロンを切り取るだけです。

何より重要なのが足部の骨の触診です。(←絶対に大事)

足部にはおよそ28個もの骨があり、正確に触診することは非常に難しいと感じました。

また、インソールは触診がずれてしまい、

骨と骨の間・いわゆる関節部分にインソールがきてしまうと

想定されているような効果を発揮せず、

逆に柔軟な足部の運動を制限し、運動の阻害因子となってしまいます。

 

その為には触診を限られた時間内で正確に行う必要があります。

その為には初心に帰り、解剖学の知識をつけ、ひたすら練習するしかないでしょう。

私自身、勉強中の身である為、同僚や時々、患者様との関わりの中で

正確な触診技術を身に着け、より効果的なインソールの提供を目指したいと思います。

 

〇まとめ

インソールについて基本的な部分を纏めてみました。

何より重要なのは足部の触診と後はインソール使用に至るまでの評価です。

評価の中から足部にどのような問題があり、

上部のユニットはどのような影響を受けているのか

また、インソールを使用する際は足部の問題をどのように解消し、

どのような上部のユニットの問題解決を目指すのか

しっかりと考える必要があります。

それをなくし、ただ足部が崩れているからインソールを使用する。

それでは理学療法プロセスに則れていません。

 

インソールの勉強をすればするほど、評価や観察の重要性に気づけた気がします。

 

 

引用文献

入谷ら,下肢の障害に対する足底板療法,愛知県理学療法学会誌20,102-105,2008

 


股関節と足部の関係とは?

こんにちは。

ブログの設定を失敗してしまい、ブログを見ることが出来なくなってしまったので

すこしずつ記事を書き溜めております。

 

さて、今回は以前ご紹介した股関節が足部に及ぼす影響について

纏めてみたいと思います。

足部は身体の中で唯一床反力を直に受け取るポイントなので

今回は股関節としていますが、それ以外にも体幹や膝等の影響も大きく受けます。

 

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股関節と足部どう関与する?

股関節の疼痛や跛行がメカニカルストレスにより出現した際、

足部への間接的なアプローチにより

カニカルストレスを減少させることができます。

足部へのアプローチとしては基本的に足底版が中心になります。

 

歩行において足部を見ると歩行形態を表すヒントが多く隠れています。

その中でも胼胝荷重部位非荷重部位の関係を見ることが重要です。

また、姿勢制御においても高齢者は股関節戦略・足関節戦略の内、

股関節戦略を中心に利用しますが、股関節の病変により

十分に股関節戦略が機能しなくなります。

そのような場合、いかに足関節戦略の機能を高めるのかが重要になります。

 

※胼胝とは・・・物理的圧迫を反復して受け続けることにより、

皮膚の角質が増殖して肥厚・硬化し、丘状扁平に隆起する現象。

(よくタコとかって呼ばれますね。これがひどくなると魚の目となります。)

 

 

まずは足部をチェック

 

胼胝

胼胝の位置から足部のどの部分に体重が乗るのか・どのように蹴り出しを

行っているのかを推測する事が出来ます。

例:第5中足骨付近に胼胝があると外側荷重の可能性が高い等です。

 

前足部の柔軟性

骨盤の前方移動距離と前足部の柔軟性には関係があります。

骨盤を前方移動させるためには足圧中心を前方へ移動させる必要があり、

前足部の回内の柔軟性が高すぎると足圧中心を前方へ移せず、

骨盤の前方移動や蹴り出しが困難となります。

 

中足骨と床面との角度

第一中足骨と床面とのなす角を第一中足骨底角といい、

この角度が大きいと母趾球側荷重が強くなり、足趾は立位時に既に伸展している為、蹴り出しが困難となります。

逆にこの角度が小さいと母趾頭側での荷重が強くなり、安定性↑となります。

 

踵骨の回内外角度

踵骨の回内外角度は回内:回外=2:3程度といわれています。

 

レッグヒールアングル

立位・側方への体重移動、片脚立位にて踵骨と下腿とのなす角をみます。

この角度は正常では約6度とされています。

上記姿勢でのこの角度を確認し、立位や体重の側方移動時に

内側・外側アーチや横アーチのアライメントを確認します。

 

これらをどのように股関節と関連付けるか?

矢状面では・・・

骨盤の前後の動きをまず確認します。

骨盤の後方への移動・つまり歩行における踵接地~立脚中期の前半を促したい場合は

踵骨は回外方向へ誘導します。

骨盤の前方への移動・歩行における立脚中期後半~立脚後期にかけてを促したい場合は踵骨を回内方向へ誘導します。

事前に胼胝が小趾側にできていたりすると

立脚後期において母趾側での蹴り出しが困難な可能性があったり、

前足部柔軟性が高すぎたり、第一中足骨底角が大きいと立脚後期を作れず、

骨盤の前方誘導時に大きく代償が生じる等の現象がみられます。

印象では高齢な股関節疾患の方では前方への移動が大きく制限されている印象があります。

 

前額面では・・・

骨盤の左右への動きを確認します。

基本的に骨盤の内側への動きは内側縦アーチが外側への動きは外側縦アーチが制御します。

内側縦アーチが高いあるいは外側縦アーチが低いと下腿は外側へ倒れ、足部は回外します。

内側縦アーチが低いと下腿は内側へ倒れ、足部は回内します。

(あまり外側縦アーチが高いとの表現は聞いたことがないので割愛しています。)

内側アーチが低く、骨盤の外側移動が上手く行えず、股関節金のトレーニングが上手くいかない方が多いような印象があります。

 

ではこれらの障害に対してどのようにアプローチしていくのか?

基本的には運動療法やインソールがありますが具体的なアプローチについては

また次回に纏めてみたいと思います。

変形性股関節症とは?基本的なアプローチ!

こんにちは。

気づけばブログを始め、一週間経ちました。

自分の考え・知識をアウトプットする機会を得られ、

日々、新鮮な気持ちで仕事に励めております。

 

では、今回は以前の記事でお話しした変形性膝関節症に続き、

変形性股関節症について纏めてみたいと思います。

 

↓前回の纏めてみた変形性膝関節症に関する基礎情報です。

よろしければご参照ください。

 

 

 

tanimax0923.hatenablog.com

 

 

 

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変形性股関節症とは?

股関節は膝関節同様には荷重関節でここの関節の問題が起きると

痛み歩行障害を招きやすく、股関節の可動域制限や筋力低下等も

生じる疾患で発生頻度も多いとされています。

骨・関節の形態異常により最初に軟骨の変性が生じ、

徐々にの骨増殖反応による骨棘形成が生じます。

 

変形性膝関節症と同様に一次性と二次性に分けられ、

一次性は高齢者によく発生しますが原因は現在も不明であり、

脆弱性や免疫・生化学等様々な方面から検討されています。

二次性は先天性疾患に由来するものが多く、臼蓋形成不全、ぺルテス病や滑り症などの

骨の疾患や外傷、リウマチ等に由来します。

臼蓋形成不全により変形性股関節症に至ると

個体差は大きいとされていますが、前念角の増大と頸部長の短縮が特徴的です。

 

 

日本では変形性股関節症の75~90%以上が二次性で先天性股関節脱臼の治療後や

臼蓋形成不全を伴う方が大半を占めます。

股関節痛を自覚し始めるのは30代に多く、50~60歳代で

変形性股関節症の診断を受けることが多いとされています

 

変形性股関節症発生に関与する要因とは?

日本では二次性が多いですが、欧米では肥満高齢

運動不足等の関与が報告されています。

しかし、運動に関しては重量物を用いた作業や立ち仕事が

発生に関与したとの報告もあり、一概に運動不足のみが関与するとは言い難い状況です

やはり関節は消耗品なので高齢になるにつれて、

股関節に大きく負担をかけないよう意識することは重要かもしれません。

 

変形性股関節症の進行に関わる要因とは?

こちらも発生要因と同様に高齢・肥満は関わってきます。

他には股関節痛や股関節の屈曲制限が関与するとされています。

また、ガイドラインではCE角が10度未満かつ50歳以上の方で

病気が進行しやすいとされています。

 

※CE角とは

大腿骨頭の中心を通る垂線と、臼蓋の外縁を結ぶ線がつくる角度のことです。


 

変形性股関節症の疼痛に関わる要因とは?

変形性股関節症ガイドラインでは疼痛に関わる要因として

肥満臼蓋形成不全の程度関節裂隙の狭小化が挙げられていますが

股関節は3軸関節であり、周囲の軟部組織の緊張のバランスや筋力のアンバランス

により歩行や立ち上がり等の動作時に

一部分に負荷がかかり疼痛が生じることがあります。

 

〇関節唇由来の疼痛

変形性股関節症では早期の段階より関節唇に負荷がかかり、

前上方・上方の関節唇の損傷をきたすことが多いです。

関節唇の損傷部には微小血管の拡張や増生等の血管反応は生じますが、

元々、血管支配が少なく治癒力に乏しい為、

ストレスの減少や更なる負荷の減少を考える必要があります。

股関節の屈曲・内転・内旋にて前上方部分へのストレス

股関節伸展・外旋では後方部分へのストレス

生じやすいとされています。

また、股関節外転や外旋においても前方へのストレスが生じる為、

過度な外旋等のストレスは更なる関節唇損傷や疼痛を引き起こす可能性がある為、

注意が必要です。

 

〇内転筋由来の疼痛

股関節内転筋で長内転筋等の起始部・筋腱移行部に疼痛をきたしやすいです。

変形性股関節症では関節のストレスを避ける為、

運動の際に骨頭上に骨盤を被せ、股関節を外転位とし、

骨性の支持を高めようとする姿勢をとることがありますが

このような姿勢では股関節外転筋は使用されず、内転筋の筋負荷が高まります。

また股関節の外転筋と内転筋はカップリング作用により股関節の安定性を保つ為、

外転筋の筋力低下により骨の安定性低下が生じると内転筋への負担が更に増加します。

このような場合は内転筋のリラクゼーションと合わせ、

外転筋の筋力訓練を行っていく必要があります。

 

腸腰筋由来の疼痛

股関節の伸展等の関節可動域制限が生じると安静臥位時においても

股関節はベッドに全面接地できず、不安定な姿勢となることがあります。

そのような姿勢において腸腰筋の筋緊張は増加し、疼痛をきたすことがあります。

また、男性は女性に比べ、骨頭に対する骨盤の被覆率が高く、

屈曲時に腸腰筋のインピンジメントをきたすことがあります。

そのような場合は腸腰筋のリラクゼーションや

屈曲運動時に骨盤が前傾位とならないように骨盤の後傾を誘導しながら行います。

 

変形性股関節症に対して運動療法は有効?

結論から言うと運動療法は有効です。

変形性股関節症に対する運動療法の大きな目的は疼痛の軽減、

筋力向上による機能障害の改善、関節の安定性向上・可動域拡大が中心となります。

過去の報告では6から12週の運動療法の提供が疼痛軽減、QOL改善に有効であり、

その効果は3~6か月効果が持続したとされています。

筋力強化のポイントとしてはやはり上記でも述べた筋力低下をきたしやすい

股関節外転筋や全身筋力の指標となる膝関節伸展筋が中心となります。

また、荷重関節である股関節が障害されると唯一地面との接点を持つ

足部にも必ず影響が生じます。

その為、足部へのインソール等も有効な手段となります。

(インソールについてはまた後日にまとめてみます。)

 

変形性股関節症に対して運動指導が重要!

これはどのような疾患に対しても言えますが、

変形性の関節症は進行性の疾患であり、運動を行い、機能が改善したとしても

運動をやめてしまうといつかは症状は逆戻りし、更に進行していく事になります。

そのようなことを防ぐためにも運動指導はしっかりを行いましょう。

 

まとめ

変形性股関節症について基本的な部分を纏めてみました。

進行性の疾患ですし、二次性の障害が多いことから様々な要因が絡むこととなります。

これに膝関節や足関節あるいは体幹の問題が絡むこともあります。

股関節の疼痛について悩んでいる患者様がいれば、

是非お力になれるように共に頑張っていきましょう!

しかし、やはり下肢の荷重関節に対し

治療を行う場合はトータルアプローチの考え方も必要ですね。

私ももっと勉強しないと・・・